
性なき者
この子にだって性別がある
この子の性的な部分がある
女性としてのこの子、男性としてのこの子
性的な部分
性の部分を無視され尊重されず
「性が無い者」として扱われた時
その子の性への配慮がなく扱われた時
それは性的虐待となる
・・・
僕の育った家庭は、「性」という概念が無い世界だった
僕は性に対してタブーと強烈なコンプレックスを抱きながら生きてきた
性的な部分というのは、最も自尊心が傷つきやすい。その人のその人らしさの、より根幹にあたるからだ
イジメでも、性的部分への攻撃があるかないかで大きく境界線がある
・・・
女の子として、男の子として
性を尊重して親から接してもらえた子は
自分の女の子らしい部分・男の子らしい部分を持ってていいんだ、という安心感、
本来ならば当たり前過ぎていちいち自覚することなどない意識と共に育って行ける
僕は思春期を過ぎても雄になれない“僕ちゃん”みたいで、自分でもそれがすごく嫌で、性的に成熟し魅力的になって行く同世代の人達を見ては激しく落ち込んだものだ
そして自分の性に対して強烈な罪悪感と恐怖でずっと苦しみ続けた
・・・
母は僕を男としてどう育てたらいいのか分からなかったのだと思う
戸惑っているように見えることもあったから
母もまた性を知らず、子供のままなのだろう
そんな母はとても哀れだ
だが同情はしない
そんな人が人の親になってしまったせいで
こんなにも不幸と悲しみがもたらされたんだからね
だから僕は自分の行いを自覚できないタイプの人間が1番許せないんだ